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行ってきました。
ネバグの復活ライブ。 

 
管理人の私は若輩者でありまして、このバンドがリアルタイムで活動していた
時代は全くの未経験。

そして、この時代の音楽が好きな自分好みの多くのバンドは既に解散していたり、活動休止していたり、
所在不明になっていたり…。

幸いといいますか、ネット時代の現代は、後追いで過去の音楽を見聞きできる環境でありますが、
その音や動画に触れるたびに、何故これを生で体験できないのかと、
理不尽なこの怒りにも似た感情をどこにぶつけていいのか、指を咥えて忸怩たる思いを抱え込んでいたのであります。

その中でのネバグの復活。
管理人は、解散したバンドの再結成にには否定的な意見を持っておりますが、
話でしか聞いたことのない、お伽話の中の世界である「HUNG OUT世代」のバンドの復活を聞いた時には
血が逆流する気分を体験した。

嬉しかったのである。

UNITEDSURVIVEBAT CAVEのライブは体験した。
感動もしたが、正直怖かったし、痛かったw
あの時代はこんなのが沢山、犇いていたのか。
楽しいけど、痛い。
現代の、なんだか和気藹々とした「日本人的右へならえ」の客席に慣れてしまっている私にはまだ刺激が強すぎた。
修行が足りない。
意識高い系男子大学生がやっている気持ち悪いツーステップよりはるかにマシだが、痛いのはイヤ!!

なので、ネバグならばポップでキャッチーな楽曲だし、前の方にいても拳や脚が振り回されていたり、空から人が降ってきたりは無いだろうとタカをくくっていたのだが、その思いは見事に覆された。

まず、演奏が尖っていた。
メンバーとしては、練習不足とか、緊張していたと仰るだろうが、そういう感じではない。
空気として、鋭かったのだ。

10年ぶりのステージ、各々の生活の中で時間を作り出し、少ない時間の中で過去の記憶を呼び戻し、
大事に磨き上げてきた「彼らの子供たち」がスピーカーから溢れ出てきた時は、
正直、鳥肌モノだった。
緊張感のスケールが違う。
キャパ200そこそこの小さいライブハウスならではなのだろうか。
メンバーの笑顔の裏にある狂気にも似た感情が音に乗っかって出てきているように感じた。

ポップでキャッチーで、狂気。

それに呼応する満員の客。
待ってましたとばかりに暴れる暴れる。
なんじゃこりゃ。
平均年齢が高そう(ごめんなさい!!)で安心していたんですけど。

聞いてないよぅ!!
話が違う!!
楽しいよ!!

みんな自由だよ!!

何度も書くけど、ほんの15〜20年前はこんなバンド達が群雄割拠していたのか。
ネットも普及していない中で、海外の真似事と揶揄されながらも、見よう見まねで自分たち独自の音楽を作り出し、シーンを磨いていたバンド達。
産声を上げる瞬間を体験していたこのおじさんおばさん達が羨ましい。
子供連れで楽しんでいる方達もいらっしゃる。

メンバーの息も絶え絶え、MCもかなり多め(笑)のライブだったが、ダレることも全く無く、あっという間に終演した夢のようなライブだった。

メンバーのご家族も、ライブを楽しんでいるメンバーや客席を見て、誇らしい気持ちになったのではないだろうか。
ご家族のご協力無くして、メンバーも私たちも楽しむことはできない。
どうか、メンバーを温かく見守ってあげてください(笑)






1990年代〜2000年代、沢山のバンドが陽の光を求め、日々その武器を研鑽していた時代。
誰の目にも耳にも留まらず埋もれていった音楽も沢山あったことでしょう。

誰の意見に左右されること無く、動員や売り上げを気にすること無く、「気に入った」というシンプルな理由でリスナーがライブハウスに足を運んで、お気に入りのバンドを応援していたと聞いている。

客よりもメンバーの方が多いことも珍しくなかったそうだが、夢もあったと聞いている。

バイト代を握りしめ、目当てのCDを買い、ショップの袋を手に提げて家路を急ぐのが楽しくて仕方なかった。
途中で友達に会ったら「何のCDを買ったのか」と聞かれ盛り上がったと聞いている。

自分の好きな音楽を見つけに、自分の脚で探していた、そんな贅沢な時があった。

私は、それらを経験していない。
ショップに行って購入して帰る時に友人に会っても、「なにそれ。CD?ふ〜ん」といった感じで流される。

音楽を手軽に聴くことができる代償に、お金の無いバンドマンが夢を抱えてもがくことさえも許さない時代に突入している。
お金にならなければ、仕事にすることができない。
ご飯が食べられない。
(私は、お金のために音楽を作ってもいいじゃないかと考えている。潔癖な人は受け入れられないのだろうが、生きて何かをするには稼がなければならないのだ。ついでに書くと、音楽に救いを求めてもいない。)
ごくわずかな「流行の音を作れる」人しか表に出てこられない。
もう、「新しい何か」が産まれる瞬間に立ち会うことなんてできいなんじゃないかと思えてきてしまう。

テレビ番組の視聴率よろしく、売り上げの多少でそれを評価する土俵に、私は居ない。
そんな内々の話、私には関係が無いのだ。

時代的には「昔のバンド」なのかもしれないけど、初めて聴いた時に私の中の時計の針が動き出すのだから、私の中ではそれは「新しい音楽」ということになる、と思っている。


なぜ、あの時代の音楽が好きなのか、ネバグのライブで少し答えが見えてきた気がする。
各々のバンドが研鑽した楽曲にオリジナリティしか無いからだ。

色んなジャンルが生まれ、フォロワーが生まれる現象も多々あったが、ネバグの音楽のフォロワーは出てきていない。

真似ができないから。

彼らは、解散はしていない。
10年眠っていた。
眼が覚めて発した生の音は強烈だった。
10年の眠りは、彼らには必要な休息だった。
そして、彼らは自分たちの歩幅で、ゆっくりと眼を開けていくことを選んだ。

彼らの第二歩目は、10月15(土)下北沢の

KITAZAWA TYPHOON 2016

にて踏みしめられる。




STYLE Of Limited
オムニバス
Limited Records
2001-07-25